現代で働くメイドとその雇い主にとって、無視できない存在である法律や働き方のルール。
大切なのはわかっているけど、とっつきにくい〜!
そこで、メイド社労士のレイラさんによる連載「お屋敷のための働き方ガイド」がスタートしました。
第2回のテーマは「最低賃金」について。
早速お勉強をいたしましょう!
この連載は、メイド社労士のレイラの提供でお送りする広告記事です。
こんにちは!
メイド社労士のレイラです。
ダージリンオータムナルの収穫がそろそろな時期になりました。
青々としたファーストフラッシュとは違った魅力があり、秋の深まりを感じますね。
最低賃金が改定されます!
さて、秋と言えば紅茶の季節だけではありません。
労務の世界でも、秋は大きな動きがあります。
そう、いわゆる『最低賃金の改定』です。
毎年秋ごろになると「最低賃金が上がった」というニュースを耳にする方も多いと思います。
そもそも最低賃金とは?
ここで今一度、おさらいをしておきましょう。
最低賃金とは、国が「これ以下で働かせてはいけません」と定めている給与のボーダーラインのことです。
きちんと「最低賃金法」という法律に基づいて、都道府県ごとに金額が決められています。
つまりオーナー様にとっては「最低賃金以上で給与を払う」ことが法律上の義務になるわけです。
基本的な単位は「時給」で、これを基準に月給者も換算してチェックします。
ちょっとマニアックですが、最低賃金には2種類あります。
-
地域別最低賃金:その都道府県で働くすべての人に共通して適用されるもの
-
特定最低賃金:特定の産業(例:製造業など)ごとに定められるもの
今回の記事では、多くのオーナー様やメイドさんに関係のある「地域別最低賃金」をベースに進めていきます。
各都道府県の新最低賃金一覧はこちらからご覧ください。
スタート日が今年はバラバラ!
今年注目していただきたいのが、スタート日。
例年、改定日は10月~11月に集中することが多いのですが、今年は一味違います。
例年よりも極端な始まり方なんです。
スタート日も都道府県によって異なるので、メイドさんのお店が多く集まる東名阪、その他の地域もチェックしていきましょう。
東京:2025年10月3日スタート
愛知:2025年10月18日スタート
大阪:2025年10月16日スタート
主要都市部については、例年とそこまで変わりません。
しかしその他の地域を見てみると……
熊本:令和8年1月1日 スタート
秋田:令和8年3月31日 スタート
大きなばらつきがあることがわかりますね。
バラバラな理由は「上げ幅」にあり?!
なぜこんなに全国一斉スタートではないの?とお思いになるかもしれません。
よく見てみると、スタートが後発の都道府県は最低賃金の上げ幅が大きい傾向にあります。
場所によっては、時給82円アップのところも!
上げ幅が大きい分、人件費の用意や原価計算にも時間がかかる故に、準備時間をくれているのかもしれませんね。
お屋敷全体での工夫が求められる状況に……。
ちなみに、時給が82円上がるということは、週5回8時間勤務するメイドさん1人当たり、概算で13,120円アップに!
3人分だと39,360円となり、お屋敷オーナー様の戦略的判断の重要性がよくわかります。
もう少し掘り下げると、一日当たりに売るスコーンやチェキ、ドリンクの価値を上げねばならないということになります……。
単に物の価値にとどまらず、いかに旦那様、お嬢様にその価値を感じていただけるか、お屋敷全体で工夫することが求められるのですね。
特に工夫は、お客様の前に立つメイドさんにかかっているといっても過言ではありません。
全員で話し合い、価値向上の情報シェアミーティングは欠かせなくなってくるでしょう。
最低賃金Q&A
最低賃金について、よくある質問をまとめてみました。
Q: 最低賃金である時給には、残業代や〇〇手当を含んでよいの?
「最低賃金が高いので、残業代込みで最低賃金クリアさせていいですか・・・?」というご相談がよくあります。
結論としては、残業代はNG、手当は最低賃金に組み込んでいいもの、ダメなものが存在します。
≪最低賃金に入れて良い手当例≫
・基本給
・その他手当(店長手当など)
≪最低賃金に入れてはNGな手当例≫
・残業代
・キャスドリ、チェキなどのバック
・通勤手当(※距離数にかかわらず全員3000円支給、などであれば最低賃金に入れてOK。各自バラバラな金額であればNG)
・賞与
・臨時の手当(結婚や出産、慶弔金などのイベントに関するものが代表例)
つまり、『月によって変動しがちな手当は最低賃金に入れない』と覚えておくとやりやすいです。
詳しい体系図のリンクはこちらをご覧ください。
日給者・月給者は最低賃金関係ないですか?
最低賃金は月給者にも関係があります。
日給や月給も分解して時給換算し、最低賃金を切っていないかチェックを行います。
- 日給の場合:日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
- 日給12,000円÷1日の所定労働時間が7時間・東京都の場合
- 時給換算:1,714.28円
- OK!最低賃金1,226円を超えている。
- 日給12,000円÷1日の所定労働時間が7時間・東京都の場合
- 月給の場合:月給÷1か月の月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
- 月給120,000円÷1か月の月平均所定労働時間140時間・東京都の場合
- 時給換算:857.14…円
- NG!最低賃金1,226円に足りていない!といった具合です。
- 週5、8時間前提・東京で働くとなると、月給換算でおおよそ19万円~20万円台がクリアイメージです。
- 月給120,000円÷1か月の月平均所定労働時間140時間・東京都の場合
※1か月の月平均所定労働時間は、年間の休日日数を決めてから設定します。フルタイムで働く人でだいたい160時間~170時間前後です。就業規則の話に直結しますので、社労士への相談ポイントです。
Q:業務委託にすれば最低賃金は切ってても問題ないですよね?
必ずしもそうではない……!が実情です。
これは複数の法律が絡んでいて、実態が雇用とジャッジされると、「最低賃金超えてないじゃん・・・」というオチになってしまいます。
オーナー様方がメイドさんを採用するときに気になったのもここかと考えます。
ポイントは、雇用=メイドさんの労働時間に対してお金が払われること。
時給〇〇円でお給料が払われていると、雇用の性質が強まります。
他にも店長や先輩の指示に従って働いている、仕事を断れない、などの判断材料を加味して決まります。
そのような状況下で業務委託にするのは後々トラブルを呼びますので、極力避けることをオススメします。
困った時は、社労士まで!
今回は、最低賃金の改定を前によく出てくる疑問をテーマにしました。
お屋敷によっては、すでにご対応いただいているところもいくつかあると認識しております。
皆様断腸の思いで決断なさっているのも感じますし、メイドさん、キャストさんの働く場所づくりに欠かせない意思決定を感じます。
その選択には敬意を抱かずにはいられません。
あ、そうそう。求人票が前の最低賃金になっていませんか。特にSNS求人はこの時期直し忘れが多発しますので、修正をお忘れなく!
検算ができないなどのご相談は社労士までご相談ください。
一人で抱え込んでいっぱいいっぱいになる前に、人事周りもメイドに頼ってみませんか?
メイド業界以外でもご相談可能で、他にマッチ度が高い先生がいましたら、そちらにお繋ぎすることもできるとのこと。
メイド社労士のレイラさんにご相談をご希望の方は、レイラさんのXのDMまでご連絡くださいね!
この連載は、メイド社労士のレイラの提供でお送りしました。
※本記事はレイラさんが一般的な例を分かりやすくまとめたものです。一般的な例を用いて説明していますので、実際の給与計算や契約形態によっては事情が異なる場合があります。個別事案や正確な情報については必ず社労士などの専門家にご相談ください。